「天才病」は本当?──双極性障害と創造性の関係、中西医×栄養でのセルフケア法

1. 双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害(そううつ病)は、気分が極端に高ぶる「躁状態」と、極端に落ち込む「うつ状態」が繰り返し現れる精神疾患です。
世界的には約100人に1〜2人、日本国内でも珍しくない病気ですが、一般的な理解はまだ十分とはいえません。

2. 「天才病」と呼ばれる理由と背景

歴史上の有名人と躁うつ

ゴッホ、ベートーヴェン、ヴァージニア・ウルフ、ヘミングウェイなど、歴史的に創造性の高い人物が双極性障害だった可能性があるとされています。
躁状態のときは、

精力が非常に高まる

思考が活発で斬新な発想が浮かぶ

睡眠時間が少なくても活動できる

こうした特徴が創作活動のピークと重なり、「天才病」という呼び名が広まりました。

3. 科学的に見た「双極性障害と創造性」の真実

一部の研究では、双極性障害の人は創造性テストで高いスコアを出す傾向があります。

しかし、「病気だから天才になる」という因果関係は科学的に証明されていません。

健康な人でも高い創造力を持つ人は多く、双極性障害が創造性の必須条件ではありません。

症状が重いと、集中力・判断力・体力が落ち、むしろ創作活動が継続できないケースも多いです。

4. 「天才病」というラベルが持つリスク

1. 病気の浪漫化
 治療や安定化を軽視し、症状を維持することが創作の源と勘違いする。

2. 心理的プレッシャー
 「天才病」と呼ばれる以上、特別な成果を出さなければという無意識の重圧がかかる。

3. 個人差の軽視
 実際には、多くの患者にとって最大の願いは「創作」ではなく「生活の安定」です。

5. 中西医と西洋医学の両面から見る管理法

西洋医学的アプローチ

薬物療法:気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン等)+必要に応じて抗うつ薬や抗精神病薬。

生活リズムの安定:固定した睡眠時間を保ち、昼夜逆転を防ぐ。

心理療法:認知行動療法(CBT)、マインドフルネス(MBSR)で感情の引き金を管理。

中医学(漢方)のアプローチ

躁期:肝陽上亢・痰火擾心タイプが多く、清肝瀉火・安神の処方。

うつ期:心脾両虚・肝鬱気滞が多く、健脾補気・疏肝解鬱を目指す。

例:日常茶方
 - 躁期:菊花+玫瑰花+淡竹葉(清肝・安神)
 - うつ期:枸杞+百合+紅棗(養血・安神)

栄養・分子栄養学の視点

おすすめ栄養素:
 - オメガ3(EPA高配合)
 - マグネシウム(グリシン酸やリンゴ酸タイプ)
 - ビタミンB群(B6、B12、葉酸)
 - ビタミンD3

食事の基本:低糖質で血糖値を安定、高タンパク、良質な脂質を摂取。

6. 日常生活でできるセルフケア

感情日記:睡眠・気分・出来事・服薬・食事を記録し、自分の傾向を可視化。

エネルギー予算:躁期はやりすぎない、うつ期は最低限の生活目標を設定。

創作と休養のバランス:アイデアは記録して、体力を無理に使い切らない。

7. まとめ

双極性障害は「天才病」と呼ばれることもありますが、それは一部の事例が切り取られて広まったイメージにすぎません。
本質は創造性の病ではなく、気分の波と共に生きるための自己管理が求められる病気です。

> 「私は病気だから価値があるのではない。
病気を抱えながらも、生きることと創造することを選んでいるから価値がある。」

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